人とも猫とも、つながるご縁 一つの出会いが連れてきてくれる不思議
■いとしい和歌山

右が桃、左がエルジェイ。立派な成猫になりました
1985年生まれ、岩出市出身。フォトライター、シナリオライターとして東京を拠点に活動している。書籍の制作を機に、和歌山と東京の2拠点生活を始めた。「おいしい和歌山」は県内書店などで発売中。
2025年の春、うちに3匹の子猫がやってきました。きっかけはSNS。書籍「おいしい和歌山」に携わってくださった方々とつながっているアカウントで見つけたのが、那智勝浦を拠点としている木工作家・古橋治人さんの「犬の散歩中に3匹の生まれたての子猫を保護しました」という投稿でした。
そこに写っていた子猫たちがあまりにかわいく「もし譲り先がなければ引き取らせてください」と連絡し、すぐに譲渡してもらうことが決まったのです。
数日後に那智勝浦へ赴き、3匹とご対面。生後間もない子猫の世話をするのは初めてという古橋さんでしたが、子猫がこごえないようにサーモスタットを使って電気毛布をつくり、こまめにミルクをあげ、寝る間を惜しんで子猫たちのお世話をしていました。
先住の大きなわんちゃんのお世話をしながら、子猫の世話をすることの大変さは想像に難くありません。「引き取るからにはしっかり育て上げないと」と心に誓いながら根来に帰った日のことをいまでも覚えています。
人懐っこくおてんばな女の子は梅、マイペースで甘え上手な女の子は桃、一番寒がりで病弱だった男の子には、長生きしてほしいという願いを込めて、我が家の最長老犬の名前を冠したレディJr.(通称:エルジェイ)と名付けました。
梅はある日、こつぜんと姿を消しました。家族や知り合い総出で捜しましたが見当たらず。本当に人懐っこかったので、根来寺へ参拝に来た方について行き、そのまま大切に育ててもらっていると信じています。
これまで何十匹と犬猫を飼ってきましたが、どんな形の別れも悲しいもので、喪失感はなかなか癒えません。とはいえ、四六時中見守ることはできないし、縛りつけることもしたくない。動物を飼うことの難しさを改めて痛感するとともに、短い時間でも「うちの子」になってくれたことに心から感謝しています。
そして、梅がいなくなったことを報告した際、古橋さんが「ここまで優しく育ててくれてありがとうございます」とお返事をくださったことにも救われました。命を託された責任の重さと、託していただけた喜びをあらためて感じました。
古橋さんとの出会いも、梅・桃・エルジェイを迎えたことも、「おいしい和歌山」が運んできてくれたご縁です。縁とはつくづく不思議なもの。「ひとつの出会いが、思いもよらない出会いを連れてきてくれるのだな」と、隣ですやすや眠る桃とエルジェイを眺めながらしみじみと実感しています。



