オウム教団施設が消えた富士山麓 進む風化 総本部の跡は盲導犬施設
■現場へ! オウム事件の残影(1)

富士山麓(さんろく)にある「富士ハーネス」は国内最先端の盲導犬育成施設だ。静かな環境の地で、敷地からは富士山の頂が望める。奥の駐車場のそばを歩くと石碑を見つけた。
刻まれた文字は「団結の碑」。そこはかつてオウム真理教の富士山総本部だった。1995年3月20日に起きた地下鉄サリン事件の後、教団を一掃したいと地元の静岡県富士宮市民が立ち上がった。その活動を伝える。
静岡、山梨両県にまたがる一帯に教団が進出したのは88年ごろ。サティアンと呼ばれる施設が次々と建てられ、住民とのトラブルが頻発した。
当時、混乱する現場を指して、「√5」と語る人たちもいた。「2.2360679…」の語呂合わせが「富士山麓オウム鳴く」だからだ。今ならば「無く」となる。
北上すると山梨県の旧上九一色村(現富士河口湖町など)に入る。富士ケ嶺地区の人気のない公園にも慰霊碑が立つ。ただ、誰をなぜ弔うのかの説明は刻まれていない。
辺りにも教団施設が集まった。撤去後の98年に建立した際、「思い出したくない」との住民感情に配慮し、教団を示す言葉を刻まなかった。
教団と対峙(たいじ)してきた元村議の竹内精一(98)は現状が残念でしようがない。



